【BL系?ポエム】
小さな芽を見つけた。
とても小さく、柔らかい芽。
綺麗な若草色で、瑞々しい。
今は、こんなに弱く小さくても。
きっと、これから強く大きく成長してゆくだろう。
けれど、私は知っていた。
この芽は、やがて私を支配するだろう。
視界を埋め尽くすほどに育ち、やがて私を喰らい尽くすだろう。
いずれ私を壊してしまうだろう。
今、ここで。
小さな芽に翳した、この手を握り込んでしまえば。
もう、この芽に脅かされることはない。
二度と、この芽を怖れることはない。
言い知れぬ昏い予感も、永遠に消える。
震える手の中で、あっけないほど。
ただ静かに終わりを迎える。
その芽。
何も言わず、抗いもせず、己の運命も知らぬまま。
息吹は絶え、憂いも去り。
何故か、虚しさだけが残る。
また、小さな芽を見つけた。
また、昏い予感が生まれた。
何も迷わず。何も感じず。
今度は一思いに握り潰す。
また、小さな芽を見つけた。
また、昏い予感が生まれた。
どうして。
小さく無力な芽は、何度も私を追い詰める。
どうして。
潰しても、潰しても、どこかで新しい芽が生まれる。
何の為に。
こんなものは、要らない。
消えてなくなってしまえばいい。
これ以上、惑わせるな。
これ以上、苦しめるな!!!
いつしか、すべては枯れていた。
乾いた風が吹き抜け、ぬくもりを奪ってゆく。
冷たい雨が地の肌を滑り、遠くへ去ってゆく。
照り付ける太陽は、潤いを道連れに沈んでゆく。
何もない。
憂いも怖れも。
涙も喜びも。
曖昧で脆弱なものをすべて排除した、完全な世界は。
こんなにも残酷に、傷を癒した。
もう傷付かなくていいと。
虚ろに嗤っていた。
風に晒され、雨に打たれ。
立ち尽くす私は、歪んだ満足感に酔い痴れて。
さぞ滑稽な姿だったろう。
凍り付いた大地の上に横たわり。
降り積もる雪に埋もれてゆく。
ふと。
微かに目を開いてみれば、白銀の狭間に。
若草色の、小さな芽を見つけた。
溢れる涙は、凍れる大地を溶かす。
小さな芽は、その地に深く根差す。
風に揺れ、雨を抱き。
待ち侘びた陽の光を全身に浴びて。
次々に芽生え、果てしない海原をつくる。
あるものは樹になり。
あるものは花になり。
視界を埋め尽くすほどに育ち、やがて私を満たした。
見上げれば、あなたの笑顔。
笑い返す私に、差し伸べられる手。
小さな芽を見つけた。
とても小さく、柔らかい芽。
綺麗な若草色で、瑞々しい。
今は、こんなに弱く小さくても。
きっと、これから強く大きく成長してゆくだろう。
-END-